あぐら牧場の民事再生の行方 その1
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民事再生は、債務超過にある事業主が文字通り復活、再生することを意味しており、再生申立人が再生計画案に照らし、再生債権者の債権額の大幅な減免を伴い、減免からはずれた残債務を長期間で分割弁済していく手続であります。
しかし、安愚楽牧場は、当初から果たして事業の再生を企図しているのだろうか、全国に散在する直営牧場、預託農家が保有している、十数万頭の牛(繁殖牛、去勢牛、子牛)を、優先順位に基づいて、債権者の返済に充当していくことを第一義としてはいないでしょうか。
とすれば、民事再生という「名」を借りた、裁判所の関与した清算手続と考えた方が適切ではないでしょうか。
加えて、複雑な取引経路、牛の育成、雌牛の繁殖という、時間の流れを考慮すれば、店頭や商社の倉庫に備蓄されている棚卸商品や仕掛品を、競争入札によって、一挙に売却処分するのは、生き物である牛には適用できないというのが自然であります。
だからこそ、あぐら牧場の清算が穏やかな民事再生手続を利用することになった、と言えるかもしれません。
安愚楽牧場の本体である直営牧場が、保有する牛を売却処分した結果、牛が不存在となって、そのまま牧場が存続しがたいのは、清算型であるのでやむを得ないと思います。しかし、預託農家は、安愚楽牧場から依頼を受けた後、預託牛を全て、回収されれば、有償の肥育業務をする余地は全くなくなります。
預託農家弁護団は、牛を商事留置することによって、単に平成23年6月1日から8月8日迄の未収の飼育料を、優先弁済を受けることが、主目的ではありません。預託農家の事業存続を第一義として、活動指針を立てる必要があります。
そのためには、預託農家の保有する牛を、預託農家自体が購入するか、第三者が購入して現在の預託農家において肥育し続けるかの法律問題しかない。預託農家の牛を、そのまま、購入した第三者の牧場に移送するのは極力避けることが、弁護団の最大の課題であります。
任意売却であれば、その値段査定と任意売却の代金の資金調達方法が問題となります。
預託農家から依頼を受け、当事務所が編成組織している私ら弁護団以外の弁護士は、どのような活動指針を取っておられるのでしょうか。預託農家の畜産形態の保持を第一義とすれば、牛は、できるたけ預託農家に留める方法が優先されるべきことであります。
安愚楽牧場の清算は、出資者オーナーを取り巻く法律問題も奥が深いのであります。
そして、出資者への配当金額、高配当率の保持は、全て、預託農家、直営牧場の職員による、牛に対する手厚い世話があってこそ、実現できることは、忘れてはならないのであります。






