破産した会社が主たる事業を第三者に譲渡した場合、破産管財人は上記事業譲渡を否認できるか。

 破産する会社は、廃業することを前提とする以上、主たる事業も清算されてしまう結果になる。そこで、倒産会社を有効活用しようとする場合、第三者ないし新たに設立した新会社に事業譲渡をする動きがある。

 取引債権者は、外観からは実体は変わらず、事業が法的には倒産会社以外が運営していることに憤りを感ずることになる。主たる事業施設に対し根抵当権を設定している金融機関は、担保不動産から利息相当の不動産賃料を取得できれば、特段の異存を言うところはない。

 しかし、倒産会社の破産管財人が事業譲渡された事業を否認し、事業譲渡の際移転された現物の返還を求め、返還不能の場合価額賠償を求めることは、本来おおかた認められると思う。

 破産管財人が破産申立会社ないし代理人弁護士の意向を忖度して否認権を行使しなけば、違法な事業譲渡も放任されてしまうことになりかねない。破産管財人の公正性が求められる所以である。

 事業譲渡を受けた第三者が破産会社の債務(金融機関に対する貸金返還債務)を重畳的債務引受していても、否認権行使は認められ、償還すべき価額は減少しない、というのが判例である(東京地裁平成22年11月30日決定)。